2022/06/01 16:05

 


獣医さんというのは、その職業柄、毎日、いろんなペットたちと対面する。
ねー。ネコだって。生まれたてから大往生、男の子も女の子も、
野良にゃんも箱入りにゃんも、中には超狂暴とかビビりで失神寸前とか。
そりゃーもう個性あふれるにゃんこさんたちと日々、遭遇するお仕事なわけだ。


で。20年の猫との暮らしの中で、納得するまで追求しちゃう性格の私としては、
めちゃくちゃ獣医ジプシーをした。引っ越しに伴ったり伴わなかったり、
まぁいろいろなんだけど、とにかく、あっちこっち回った。

 


私の大事なにゃんこさんたちの命。預けるからには納得出来なきゃ困る。
この先生でダメなら、どこ行っても無理さ。と。覚悟できなきゃ困るわけ。
私とのディスカッションで言い負けるようなお先生様じゃダメなわけよ。


下手に知識があるから言いくるめられない上、納得できなきゃ山盛りの質問、
代替案の要求と。多分に扱いにくい飼い主だと思われる私が、
結果的に「ああ、いい先生だ」って納得した獣医さんが、過去に三人だけいる。

 


但し、お1人は当時、まだ新人で「きっと素晴らしい獣医さんになられるだろう」って
頼もしい未来に期待できる先生で。その時点は必死の切磋琢磨中だった。
別の1人はうちの主治医さん。1時間かけて車で通ってる。
予防注射でも、ちょっとした不調でもこの先生じゃないと安心できない。

 


そして、もうお1人・・・。
物理的に遠くて行けない。すごく残念に思う。
今の主治医さんとこの先生と、2病院体制がとれたら鬼に金棒なのに。
2時間半もかかるんだもん。往復だけでネコが疲れてしまうから行けない。


今日はその、物理的に遠くてかれこれ10数年はお目にかかれていない
この獣医さんの「けだし名言」を書こうと思ったんだ。
それにしても、このブログは毎回、前置きが長いな。

 

 


というわけでだ。その先生は男性で。
もう一人、おっとりした、こちらもいい感じの女性の獣医さんがいて。
他に若い男の子の助手さんがいたのね。
この若い男の子は、まだ慣れない雰囲気だった。

 


そんなある日。
うちのパンドラさんの採血の補ていにこの男の子がやってきた。顔、真剣。
うちのネコは相手を見て、おとなしくなったり舐めてかかったりするw
的確に助手さんの手を狙って叩いたりとかする(すみませんww)


でもなんだろう、噛まれたことでもあったのか、男の子は唐突に、
「がしっ」とうちの子を押さえた。
(パンドラさんに)挨拶もなく何すんの、この子って、私が口を開くより早く、

 


「ばかものがーーーー!!!」

 


と。先生がシャウトして。
私もビックリ、男の子もビックリ。ネコもビックリ。
そして続いて、

 


「猫と女性はーーーっ、押さえつけたらーーー! 嫌われるだけなんだぁぁぁ!!!」

 

 


笑ったね。
もうホント。先生、今めっちゃイケメン。
普段、無骨な感じなのに唐突に超ダンディ。


「ごめんなぁ、こいつが無礼なことしてごめんなぁぁぁ」って、
パンドラさんに真剣に謝ってるお姿もイケメン。


「あら、いいのよ。わかってくれれば」とでも言うかのように、
スリッと先生の手に頬っぺた寄せちゃうパンドラさんときたら、これぞ魔性の女ばりでw


結果的に、彼女はご機嫌のゴロゴロで採血させてくれたんだ。

 


で。こうやって書くと笑い話みたいなんだけどさ。
これ。
ホント、ネコという生き物の真髄を的確に言い当てている言葉だと思うんだ。
(蛇足ながら「女性」という生き物についてもねww)


たまに、モラハラ並みにネコを叱って支配しようとしてる飼い主さんを見るけどね。
甘やかしちゃだめとか、舐められちゃダメとか、いう人もいるけどさ。


無駄だよ。
ホント、嫌われるだけ。


でも食べ物もらわないとまずいから、ネコは従ってくれてるだけ。
一緒に暮らしてる、人生の相棒に嫌われて、内心「ばーか」って思われながら
ふんぞり返ってる飼い主様にならないようにしたいものだよねww

 


ああ・・・そうだ。
舐められちゃダメっていうのは、とてもわかりにくい表現なんだけど、
真実でもあるんだ。


「こいつ、自分より下の存在だ」ってネコに思わせてしまったら、
その子の世界では「頼れるものは自分だけ」になってしまうから。
それはとても寂しくて、頼るもののない不安があるってことだから。


だから。


この「ニンゲン」という二本足は、


世界一、私に甘くて
世界一、優しいけれど
世界一、強くて
世界一、私を愛してる


って。
あなたの大事な猫さんに(彼女とか奥様とかにもw)信じさせてあげる
オットコマエな保護者でいてね。